23歳の貴方へ
物事には全て裏と表がある.
善と悪
光と闇
愛と憎しみ
透明と混濁
生と死
歳を重ね人生経験が多くなるにつれて,スポットライトが当たっている部分だけではなくて、その周囲の暗闇に視線を向けてしまうものです.
お昼休み笑顔でパスタランチを食べているOLは,ランチ代を捻出するために夕飯を抜いているかもしれないし
電車で目の前に座っているブランド物を身につけた女の子は,額に汗をかいた小太りの男性と食事をしてお金を稼いでるかもしれないし
ネクタイを締めクールに街を歩く若いサラリーマンは,ブラック企業勤めで毎日やってくる朝に絶望しているかもしれない.
日々過ごす中で,街ゆく人々を眺めてはこんなことを考えます.
無論,見ず知らずの人の根拠の無い背景を思い浮かべては哀れむ私も相当歪んだ性格をしており,ある人にとっては哀れむべき対象なのでしょう.
ただ,私がここで言いたいことは
幸せと不幸せ
これも表裏一体の1つであるということです.
幸せになるための不幸というものが存在します.
何かを得るために,人は何かを手放さなくてはなりません.
二兎追うものは一兎も得ずという諺があるように,何もかも手に入れようとする者の手には何も残らない
これは社会のシステムであり,どうにもならないことなのです.
だから,幸せになるためには不幸が付き纏うのです.
では,幸せとは何でしょうか
不幸とは何でしょうか.
個人によって定義は異なってくると思いますので,
敢えてここでは定義付けない事にします.
長年貴方を応援してきて,私はこの1年,初めて少しだけ距離をおいていました.
理由は様々ありますが,自分の心のキャパシティに余裕が無く,目の前の出来事を受け入れることが出来なかったというのが1つの大きな要因です.
これは結果論に過ぎないのですが,近くで応援することを少しだけお休みするという決断をしたことは自分にとって意味あるものであり,非常に貴重な経験になったと考えます.
少しも後悔していない と言うのは嘘になってしまいます.
22歳の貴方はもう帰ってきませんから.
ただ,お休みすると言ってもやはり情報は耳に入ってくるもので,朝の情報番組で話題になっていたり,SNSでトレンド入りをしていたり.
追っていなくても活躍する姿はきちんと見ていました.
そして,感じたことがひとつあります.
それは,少し戸惑うくらい急激に,貴方が大人になっているということです.
顔つきは勿論のこと,テレビに映る表情からは自信が汲み取れ,上品なオーラを身にまとっていました.
22歳,朝ドラやCM,主演映画など新しいことにチャレンジをして経験を積んで,多くのことを得られた年になったと思います.
その経験が貴方を成長させたのでしょうか.
貴方を自信付けさせてくれたのでしょうか.
忙しいけれど,充実した日々であったことでしょう.
多くのことを掴むことが出来た,そんな1年だったのでは無いでしょうか.
しかし,先述したように人は何かを手に入れる時,何かを手放します.
貴方が手放したものは一体何でしょうか.
幾つのものを諦めたのでしょうか.
またこんな事を考えてしまいます.
私の悪い癖です.
見ず知らずの人でしたら,いつも通り勝手に想像して勝手に哀れんだり同情したりするでしょうが,
近くない存在であるとは言え,見ず知らずの人と言うほど私にとっては遠くもない存在です.
なぜなら貴方と出会った時に中高生だった私は春にはもう大学4年生になろうとしていて,それほど長い年月ファンとして貴方を見てきましたから.
これも先に述べたことですが,幸せは個人によって定義が異なるものであり,それは不幸もまた同じです.
そして,これらは個人の中で固定化されるものではなく,流動的なものです.
なので,今の貴方にとっての幸せとは何なのか,私にも,誰にも分かりません.
貴方だけが分かっていることです.
ただ,それがどんなものであれ貴方がその幸せを手に入れられることを願っていますし,手に入れられると確信しています.
そして,訪れるであろう不幸も,今の貴方には乗り越えられる力があると思うし,そう願っています.
目まぐるしく変わる日々の中で,大変な事も,辛い事も,嫌になる事もたくさんあるでしょう.
貴方がおおきくなるにつれて,その数はきっと増えていってしまうことでしょう.
ですが,表裏一体の世界です.
辛いことがあった分だけ,幸せがあります.
そんな幸せを見つけて噛み締めて
23歳の貴方も笑顔で過ごせますように.
永瀬廉くん
お誕生日おめでとう